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【補聴器相談医が徹底解説】言語聴覚士(ST)の仕事
当院にも在籍している言語聴覚士ですが、具体的に「何を専門として」「日々どういう仕事をしているか」ご存知でしょうか。今回は医師や看護師と比べて、患者さんと関わる機会が少ない言語聴覚士の仕事について補聴器相談医の視点から解説します。ぜひ最後までお読みいただき、当院の補聴器外来を支えている言語聴覚士を知っていただければと思います。
■言語聴覚士とは
言語聴覚士とは、「飲み込む」「話す」「聴く」機能の強化、回復、向上を目的として、患者さんを支援する医療の専門職です。言語聴覚士になるためには、文部科学大臣指定の大学や専門学校での養成課程を修了した上で、国家試験に合格しなければなりません。
●言語聴覚士の仕事内容
・「(安全に)飲み込む」…摂食・嚥下障害に対して、回復訓練・食事指導を行います
・「話す」…言語障害(失語症や構音障害等)に対して、回復訓練を行います
・「聴く」…聴覚障害(加齢性難聴や突発性難聴等)に対して、
検査・リハビリ・補聴器選定の補助を行います
■補聴器外来の言語聴覚士の仕事
当院の言語聴覚士の仕事は、主に補聴器外来、つまり上記の「聴く」仕事に携わってもらっています。
●聴力検査の実施
聴力検査には、純音聴力検査と語音聴力検査があります。
・純音聴力検査(骨導・気導)
聴こえを確認する検査で、異なる高さ(周波数)の音をどれだけ小さく聞こえるかを測定し、難聴の程度と種類(伝音性・感音性)を診断します。
・語音聴力検査
日常会話で言葉をどれくらい正確に聞き取れるかを評価します。具体的には、単音節(「あ」や「お」など)の言葉の聞き取りを行い、正答率を調べます。聴こえの専門家である言語聴覚士は検査を通して、難聴の症状でお悩みの患者さんに対して「何が聞こえにくいのか」、「どんな音が聞こえにくいのか」を明確にしていきます。
●試聴器の調整
当院では、聴力検査を行った上で、補聴器が必要と専門医が判断した場合に、試聴器(補聴器を体験できる機器)をお貸出ししています。その調整の作業は、患者さん1人ひとりで全く異なり、繊細で難しい作業です。言語聴覚士は患者さんから、実際の生活の中で感じた違和感や不満を細かく聞き取り、その状況に合わせた調整を行います。この調整作業は、患者さん自身が補聴器が必要かどうかを判断するために非常に重要であるため、聴こえのプロフェッショナルである言語聴覚士が行うべき工程です。
●補聴器のメンテナンス
補聴器は買ったら終わり、ではありません。生活の変化や聞きたい音の変化、聴こえの微妙な変化によってこまめに調整が必要です。購入後は、3か月に1回の調整を行うことが大切です。これも言語聴覚士にとって重要な仕事の一つです。
■まとめ
当院の言語聴覚士の仕事について知っていただけましたでしょうか。当院の補聴器外来や補聴器に関心がある方、ご家族で最近聞こえが悪いと感じる方がいらっしゃる場合、まずはご相談いただければと思います。ご希望の場合は、一度ご来院ください。
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【監修】北海道札幌市 あべ耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック 院長 安部裕介
■資格:医学博士/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会専門医/日本アレルギー学会専門医/補聴器相談医/騒音性難聴担当医/めまい相談医
■所属学会:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会/日本アレルギー学会/耳鼻咽喉科臨床学会/日本めまい平衡医学会/日本聴覚医学会
専門性の高い人工内耳や頭頸部癌の手術治療から難治性の耳鳴外来、認知症予防の見地からも再認識されている補聴器外来などの経験を積み、そこで得た知見を活かし、質の高い医療を提供し、安心で豊かな生活をサポートしている。
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