2026.01.30

【補聴器相談医が徹底解説】補聴器は両耳と片耳、どっちがいい?

「片耳だけが聞こえづらい」「両耳につけるようにすすめられたが左右で違いがある」そんなご意見を当院でもよくいただきます。そこで今回は、補聴器相談医の視点から両耳・片耳のどちらが良いのかについて解説します。ぜひ最後までお読みいただき、今後の補聴器購入の参考にしていただければと思います。

結論から申し上げますと当院では、補聴器は両耳で装用することを推奨しています。

ただし、片耳でつけることももちろん可能です。一部の状況では補聴器を片耳で使用することを推奨する場合もありますので、場合に分けて説明していきます。

■両耳装用をおすすめする理由

人間の聴力は、左右の耳が働くことで、耳から得た音の情報が脳に伝わり、脳がどういった音や言葉なのかを判断します。より正確に音の種類や距離、高低などを理解するためには両耳が正しく働くことが重要です。両耳で補聴器を装用することで得られる効果は、以下の通りです。

・音の方向がわかる

両耳で音を聞き取ることで、音の方向や距離がわかるようになります。音の方向や距離は、左右に届いた音の時間差で判断します。片方だけの装用では不足する可能性が高まります。

・騒音下でも聞き取れる

レストランや駅のホームなど街中の騒音下や複数人との会話では、片耳だけでは会話の聞き取りが難しいことが多いです。脳は両耳からの情報を統合して雑音を抑え、特定の会話にフォーカスする能力(カクテルパーティー効果)を使います。両耳装用によりこの能力がサポートされ、騒音下での聞き取りが大幅に向上します。

・耳鳴り予防

難聴の方には耳鳴りが多く見られますが、補聴器は耳鳴り対策としても有効です。補聴器で周囲の音を適切に取り込むと、耳鳴りへの意識が分散しやすくなります。両耳装用の方が安定した効果が得られます。

■片耳の補聴器を推奨する場合

基本は両耳装用を推奨しますが、以下のような状況では片耳装用を選択する場合があります。

・どちらか片方の耳が正常に聞こえる場合

一側性難聴のように、片方の耳は正常(あるいは軽度の難聴)で、もう片方だけが聞こえにくい場合は、悪い方の耳にのみ補聴器を装着して左右のバランスを整えます。これにより、正常な方の耳の負担も軽減されます。

・左右の聴力差が著しく大きい場合

両耳とも難聴でも、一方の耳がほとんど聞こえない、言葉の聞き取り能力が著しく低い場合、無理に両耳につけると聞き取りを妨げることがあります。より聞こえが良い方の耳、あるいは効果が期待できる方の耳に絞って装用します。

・予算的な制約がある場合

補聴器は高価な機器のため、2台購入には大きな費用がかかります。予算の関係で片耳を選ぶ方もいます。しかし両耳装用の方が満足度・聞こえの効果が高いことが多いため、まずは両耳での試聴をおすすめしています。

■まとめ

聞こえの状態や生活環境、予算は人それぞれです。自己判断で「片耳で十分」と決めてしまう前に、まずは補聴器外来で正確な聴力測定を行い、専門家の視点からアドバイスを受けることが大切です。当院の補聴器外来では試聴器の貸出もございます。ご本人やご家族で最近聞こえが悪いと感じている方がいらっしゃる場合は、一度お気軽にご相談ください。

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【監修】北海道札幌市 あべ耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック 院長 安部裕介

■資格:医学博士/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会専門医/日本アレルギー学会専門医/補聴器相談医/騒音性難聴担当医/めまい相談医

■所属学会:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会/日本アレルギー学会/耳鼻咽喉科臨床学会/日本めまい平衡医学会/日本聴覚医学会

専門性の高い人工内耳や頭頸部癌の手術治療から難治性の耳鳴外来、認知症予防の見地からも再認識されている補聴器外来などの経験を積み、そこで得た知見を活かし、質の高い医療を提供し、安心で豊かな生活をサポートしている。

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