Column

2026.01.26

補聴器のお話

【言語聴覚士が答えるQ&A】補聴器はどうやって選ぶ?Part.2

ご自身に合う補聴器を選ぶ手がかりとして、前回は、補聴器自体の情報である「種類」と「クラス」についてご紹介しました。今回は、もう一つ大事な情報である、使う方ご自身の情報、「聴力」、「生活スタイル」、そして「ご要望」について説明していきます。

■聴力

「聴力」は、補聴器の「種類」を選ぶ際に大切な情報になります。補聴器の「種類」によっては、その方の「聴力」に向いていないこともあるからです。例えば、小さくて軽い耳掛け型(RIC)は、重度の難聴の方にとってはパワー不足のために使えなかったり、反対にごく軽い難聴の方は、耳穴型や大きな耳掛け型を使うと音に違和感を感じやすい傾向があったりします。また、補聴器は、お一人お一人の「聴力」に合わせて細かく調整していくものです。ですから、その方の正確な聴力を測定することは、補聴器調整の第一歩です。

■生活スタイル

「生活スタイル」は、補聴器の「種類」「クラス」どちらを選ぶ際にも大切な情報です。その方がどのような場面で、どんな風に補聴器を使いたいかによって、それに合った形(=種類)や必要な機能(=クラス)が変わってくるからです。例えば、眼鏡のつけ外しを頻繁にする方は、耳穴型の方が、眼鏡と補聴器が干渉するストレスが少ないでしょうし、手指の細かい動きが苦手な方は、大きめの形の補聴器の方が取り扱いがしやすいでしょう。また、会議などで正確な聞き取りが必要だったり、騒音のあるところで重要な会話をしなければならない、という方は、人の声を際立たせる機能がしっかりついた「ハイクラス」の補聴器が望ましいですが、日中のほとんどを家の中で静かに過ごして、ご家族さんと二人での会話をもう少しよく聞き取れたらいいな、ということがご希望の方にとっては、そこまでの機能は必要ないかもしれません。その場合は「スタンダードクラス」や「ロークラス」から選んでいただくこともあります。このように、「生活スタイル」は、補聴器の選定にあたってとても重要な手がかりになります。 

■ご要望

これも「生活スタイル」と近いのですが、ご本人が、補聴器を使うことで「一番」改善を望むことは何なのか、というところも重要です。もちろん、困っていることがすべて解決できればそれが一番よいのですが、その中でも優先順位をつけることによって、目的がはっきりして、補聴器が選びやすくなります。例えば、

・テレビの音も小さくしたいし、外食の時の会話で困ることもあるが、一番何とかしたいのは仕事での聞き取りにくさのストレスだ

・たまに騒がしいところに行くと、確かに聞きにくいと思うけど、ほとんどは家で家族と過ごすから、家族との会話が楽になるのが一番だな

このようなご希望がうかがえると、私たちも「それならこちらがおすすめです!」と、ご要望に合った補聴器をご紹介しやすくなります。

■まとめ

2回に分けて、「ご自身に合う補聴器」を選ぶために必要なことについてお話ししてきました。聴器には「種類」や「クラス」の違いがあって、その中から適切なものを選ぶためには、その方ご自身の「聴力」や「生活スタイル」、「ご要望」が重要な手がかりになります。そのため、当院の補聴器外来では、皆様にまず「問診票」を書いていただき、さらにカウンセリングでじっくりとお話を伺って、その方に一番ぴったりの補聴器を選んでいきます。

これまでご紹介したことはあくまでも目安であって、この聴力、この生活スタイルの方にはこの補聴器「でなくてはならない」ということではありません。実際に試してみることで、最初は想定していなかったタイプの補聴器が意外にも合っていた、ということもあったりします。「試聴期間」はそのためにもあります。当院では2~3か月の試聴期間を設けており、その中で、ゆっくりと補聴器の音に慣れていただき、いくつかの補聴器の聴き比べもしながら、ご納得いただいた上でご購入の検討をしていただきたいと考えています。ぜひ、お気軽にご相談ください。