豆知識

急性咽頭炎〜のどの炎症(急性扁桃炎・急性喉頭炎も含む)のお話

■急性咽頭炎とは

急性咽頭炎は、一般には、いわゆる「のどのかぜ」として扱われることが多い病気で、咽頭、すなわち鼻の奥から、のどの奥までの部分の炎症で、抵抗力が弱まったときに、ウイルス感染が先行し、時には、二次感染として細菌感染をおこしてくるものです。

かぜは、ほとんどがウイルス感染のため、細菌感染に対する抗菌薬は不要で、市販の風邪薬などの対症療法のみで済むとされています。

症状が改善すれば問題ないですが、ただの「のどのかぜ」でない場合もあるのです。

 

耳鼻咽喉科では、「のどのかぜ」よりは、進行した状態を診察していることが多いです。

また耳鼻咽喉科医は、咽頭を詳細に診察できるので、「のどのかぜ」という言葉は使わず、急性咽頭炎、急性扁桃炎、急性喉頭炎、急性咽頭扁桃炎、急性咽頭喉頭炎、上咽頭炎、咽頭側索炎など、炎症が生じた部位で病名を使い分けています。

特に鼻の奥(上咽頭)や、のどの最深部(下咽頭)、そこに隣接する空気の通り道である喉頭は、耳鼻咽喉科医のみが診察可能な部位ともいえます。

 

いわいる扁桃腺など口の中から見える炎症は軽いのに、上咽頭に強い細菌感染が示唆される所見をみつけることも日常的にあります。

下咽頭、喉頭周囲の腫れは、急速な所見の悪化に伴う急激な呼吸苦の出現、窒息などと命に関わる場合があり、腫脹の兆候がないか確実に診ておく必要があります。

扁桃を診察する際も、ただ腫れているだけでなく、炎症があって腫れているのか、炎症が周辺に及んでないか、詳細に観察しています。

 

急性扁桃炎は、症状が進行すると、扁桃の周囲に炎症が波及する扁桃周囲炎、さらにそこに膿が溜まってくる扁桃周囲膿瘍に移行することがあります。

扁桃周囲膿瘍が進行すると、口が開きにくくなったり、さらに炎症が深部に進んでいくと、喉頭が圧迫され窒息の可能性も出てきたり、頸部膿瘍という首の著明な腫脹が生じてきます。

さらに炎症が進行し、肺や心臓のある縦隔にまで及ぶと、それだけでかなり危険な状態となります。

早い段階で的確に診断、迅速に適切な治療を開始、炎症の進行を食い止める必要があります。

耳鼻咽喉科医は鼻から入れる細い、のどのファイバーなど駆使して、詳細に炎症の程度を観察し、診断、治療を開始します。

以上のような状態のほとんどが、細菌感染が関わっており、点滴などの強力な抗菌剤が必要となります(なかには前医で内服の抗菌剤が処方されているのに進行している場合もあります)。

場合によっては、呼吸苦を改善するために、気管に穴を開ける気管切開術、膿を出す手術(扁桃周囲膿瘍穿刺術、扁桃周囲膿瘍切開術、頸部外切開術など)も必要となります。

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市販薬で改善が乏しい場合は、症状が進行性の場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

 

■急性咽頭炎の原因

急性咽頭炎は、ウイルスや細菌によって引き起こされます。

 

咽頭粘膜にはもともと、様々な細菌(=常在菌)が存在しています。

連鎖球菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌などの細菌が、免疫の低下やウイルスの感染などをきっかけに活動を始め、炎症が起こります。

連鎖球菌のなかでは、特に「β溶血性連鎖球菌」が、急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの重篤な合併症を引き起こすものとして知られます。これを「溶連菌」と呼び、その炎症は「溶連菌感染症」とよびます。溶連菌感染症は、ある一定期間の抗菌薬の内服が必須となります。特に小児では合併症の問題、登園、登校の問題もあるので、咽頭から綿棒で検査して、溶連菌感染症の迅速診断した上で、治療を開始します。成人では、子供と接する職場であるかなど、相談して希望者のみに行っています。

 

そのほかにも、気温の変化(寒さ)、空気の乾燥、口呼吸、規則正しい食生活や睡眠の乱れなど、

全身の抵抗力を下げるさまざまな要因が急性咽頭炎の引き金となりえます。

 

■急性咽頭炎の症状

急性咽頭炎の代表的な初期症状としては、のどの痛みが挙げられます。

重症化するにつれて、のどの強い痛み、嚥下痛(えんげつう)といって、食べ物や飲み物・唾液を飲み込む時も痛みが出てきます。

個人差があるため、必ずしも全てが現れるわけではありませんが、以下のような症状があります。

 

・発熱がある。

・のど痛くて、赤くて、白っぽいプツプツしたものがついている(膿栓といいます)。

・耳の痛みがある。

・痛みで食事が摂れない。

・首が腫れている。

・口が開きにくい。

・含み声になる。

・声がかすれる。

・息が苦しい。

・咳、痰がでる。

・筋肉痛、関節痛がある。

・全身の倦怠感がある。

 

【早めに病院への受診を検討しましょう】

軽度の咽頭炎では特に治療を行わなくても改善することもありますが、症状が持続し、悪化する場合、何か気になる症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科医に相談するようにしましょう。

 

仕事や学校へ行くことができないほど、のどの痛みが強い、高熱がある、水分・食事がとりにくい、口が開きにくい、含み声になっている、息苦しい感じがある場合は、重症の場合もありますので早めの診察が必要です。

特に、全く食事ができない、口が開きにくい、含み声になっている、息苦しい場合は、緊急性が高く、入院による治療の必要性も高い可能性があり、入院施設のある耳鼻咽喉科を直接受診するのも1つの方法です。

 

高齢の方や糖尿病などの基礎疾患(もともとの病気)を持つ方も、重症化しやすく、長引きやすいので注意が必要です。

 

■急性咽頭炎の検査

視診、のどのファイバーにより炎症の程度、腫れの有無を確認します。

当院では、咽頭拭い液を用いた迅速キットで、溶連菌、アデノウイルスの検査が可能です。

 

■急性咽頭炎の治療

軽い場合は、ご自宅で安静にして、うがい薬、市販の風邪薬、解熱鎮痛剤などでおさまる場合もあります。

食事は、のどに刺激の少ない(柔らかい)ものや、ゼリー状のもの、OS-1などをうまく活用しましょう。

発熱している時は、水分を補給など心がけましょう。

部屋の加湿に注意し、喫煙、飲酒は控えましょう。

 

当院に受診の際は、炎症の程度に応じて、抗菌薬を含む、炎症を抑える内服薬、状況によっては解熱鎮痛剤、うがい薬などを処方します。

軽症の場合は比較的短期に症状が治まりやすく、多くの場合、およそ5~7日程度の治療で改善することが多いです。

 

 

札幌市東区 あべ耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック 院長 安部 裕介

 

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