豆知識

アレルギー性鼻炎・花粉症のお話

■アレルギー性鼻炎・花粉症とは

ダニやハウスダスト、ペットのフケ、花粉、カビなどが、鼻の粘膜に接触することで、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが生じる病気を、”アレルギー性鼻炎・花粉症”といいます。

花粉などを、鼻づまりで奥に入らないように、くしゃみや鼻水で洗い流す、目的にかなった反応ですが、反応が過剰となりつらい症状となります。

・通年性のアレルギー性鼻炎~ダニやハウスダストなど1年を通じて発症する

・季節性のアレルギー性鼻炎(花粉症)~花粉飛散時期に発症する

に分類されます。

 

■アレルギー性鼻炎・花粉症の原因と症状

原因である花粉などが鼻に入ると、IgEという抗体ができます。この状態では症状は無く、感作といって準備状態と言えます。

再び、花粉などが鼻に入ると、IgE抗体と反応、様々な化学物質が放出され、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが生じます。この状態を発症と言います。

準備状態になったり、発症するには、遺伝的な要因や、花粉の量などが関係すると言われていますが、今では国民の半分に何らかのアレルギーがあるとも言われています。

くしゃみ、鼻水、鼻づまり以外にも、鼻、眼、耳、のどのかゆみ、長引く咳、のどの違和感、涙目、いびき、睡眠時の無呼吸、繰り返す鼻血の原因となっていることもあります。

日本では季節性のアレルギー性鼻炎である花粉症として、スギ、ヒノキが有名ですが、北海道では、雪解け頃のハンノキに始まり、ゴールデンウイークをピークに4月から6月くらいまでのシラカンバ、5月末から夏までのカモガヤ、オオアワガエリ(チモシー)などのイネ科の雑草、夏の終わりから秋にかけてのヨモギなどのキク科が主なものです。北海道では、スギ花粉の飛散は少ないですが、札幌でも少数認められ、函館地方ではスギ花粉の飛散も少なくなく、スギ花粉症の方がいます。

北海道で最も多いのは、シラカンバ花粉症です。リンゴやモモなどの美味しい果物を食べると、口に中がピリピリしたり、のどが痒くなったりする、”口腔アレルギー症候群”を合併することが多いことも特徴です。

原因となるシラカンバ花粉と、リンゴ、モモなどのバラ科の果物が似ていることが原因です。大豆アレルギーも合併することが多く、同様にシラカンバ花粉と似ていることが原因です。のどが腫れたり、息が苦しくなったりすることもありますので要注意です。

一方、ハウスダストやダニによるものは、通年性のアレルギー性鼻炎といって、季節を問わず、年中症状が起きる可能性があります。ダニを完全に無くすことは難しいですが、掃除仕方や家具や寝具の変更などによって、環境要因を改善することは可能です。

 

■アレルギー性鼻炎・花粉症の検査と診断

症状、鼻内の状態の診察、鼻水中の好酸球(アレルギーに関わる白血球)の程度で診断します。血液検査で原因が何かを調べることもあります。

似たような症状を起こす鼻のポリープ(鼻茸)、副鼻腔炎(蓄膿症)、鼻中隔湾曲症などとの鑑別のため、鼻のX線やファイバーで鼻内を観察することもあります。

 

■アレルギー性鼻炎・花粉症の治療

◎薬物療法

抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬などの内服薬、ステロイドなどの点鼻薬、点眼薬を、個々の症状、鼻内の状態に応じて、組み合わせて使います。

花粉症の場合は初期療法といって、花粉飛散前や飛散開始初期の内服が有効ですので、原因を調べることも大切です。

 

◎舌下免疫療法

ダニアレルギー、スギ花粉症には、舌下免疫療法といって、ダニやスギ花粉のエキスが入った錠剤を舌の下に毎日入れる治療法があります。定期的に受診し、3年から5年続ける必要がありますが、以前のように痛い注射ではなく、自宅での内服で完治する可能性のある治療法になります。

ダニアレルギーは、鼻以外にも、気管支喘息などの気道のアレルギーの原因となる可能性があります。

アレルギーが起きる場の範囲を拡げないためにも、未来のあるお子様、ダニアレルギーの完治を目指す方、スギ花粉症に悩んでいて、北海道にいる間に完治したい方にはお勧めの治療法です。

 

◎手術療法

多くの方が薬物療法で症状の改善が期待できますが、難治性の方、鼻のポリープや副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症などの合併のある方には手術による治療法もあります。

 

最近は花粉症の低年齢化も指摘されており、”風邪が長引いて…”と思っている方、年齢を問わず要注意です。 飛散直前からの初期治療が効果的ですから、気になる方は耳鼻咽喉科を受診、鼻をよく診てもらい、鼻の腫れ具合や鼻水の状態を確認、血液検査で原因を調べてもらうことをお勧めします。

 

意外なホント①~”鼻づまり”は、重い内科の病気に匹敵するくらい生活の質を下げることが知られています。

 

意外なホント②~”去年まで何とも無かったのに急に…”などとおっしゃる方も多いのですが、発症するまでにそれなりの蓄積があるのです。花粉が多い年に発症する方が増えるのもこのためです。

 

札幌市東区 あべ耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック院長 安部裕介

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