豆知識

真珠種中耳炎のお話

■真珠腫性中耳炎とは

真珠腫性中耳炎は慢性中耳炎の一種です。

真珠腫性中耳炎は鼓膜の一部が中耳に向かって袋状に凹んでいき、その部分に耳垢のような皮膚の老廃物などが溜まり、まるで真珠のような丸い塊ができることからそう呼ばれています。

この真珠のような塊は、周りの骨を溶かし周囲の構造を破壊しながら、徐々に大きくなっていきます。

そのため真珠腫性中耳炎をそのまま放っておくと、音を伝える小さな骨である耳小骨や神経などを圧迫し、難聴やめまい、顔面神経麻痺などを併発したり、稀に脳内に進展するなど、怖い病気になります。

真珠腫性中耳炎の主な症状として、難聴、耳の痛みや耳だれが挙げられます。ただし真珠腫が小さい段階では特に自覚症状が出ないことがこの病気の悩ましいところです。

また、真珠腫性中耳炎には生まれつき存在する先天性真珠腫と、耳と鼻をつなぐ管である耳管の機能の問題などから鼓膜が凹んで生じる後天性真珠腫があります。

 

■真珠腫性中耳炎の原因

真珠腫性中耳炎の原因はずっと昔から研究されていますが、いまだに原因の特定はできていません。

ただし、鼻すすりや耳管機能の悪化により鼓膜の内側と外界との圧の調整が上手くできないことが原因のひとつではないかと考えられていますので、日常的に鼻をすする癖のある方は、注意が必要です。

 

■真珠腫性中耳炎の検査と治療

検査:

耳鏡検査にて鼓膜の状態を直接確認することが重要になってきます。

同時にティンパノグラムや標準純音聴力検査にて、鼓膜の凹みが無いか、聴力の低下が無いか検査を行います。

進行している可能性がある場合は、耳周囲への進展状況や骨の破壊状況を確認するためCTなどによる画像検査を行う必要があります。

 

治療:

真珠腫性中耳炎と診断された場合、初期の場合であれば通院で対応できることがありますが、基本的に手術によって真珠腫を摘出し、破壊された鼓膜や耳小骨の修繕をすることになります。

手術を行うと決まれば専門の医療機関をご紹介いたしますが、手術は基本的に入院が必要となります。

また、真珠腫性中耳炎は一度摘出をして治療を行っても、再発のリスクがあるため、手術後も長期にわたり可能な範囲で通院を行うことが必要になります。

 

■真珠腫性中耳炎は癌?

真珠腫性中耳炎は、「腫」という文字が入っていることからもしかして癌の一種ではないかと考えられる方もいらっしゃると思います。

しかし、決して腫瘍ではありませんので、癌に変化することもありませんので安心してください。

ただ、真珠腫性中耳炎は、放置すると骨を破壊し周囲に進展するやっかいな病気ですから、早期発見・早期治療が大切です。

聞こえの低下、耳の痛みや耳だれが起こった際に、放置するのではなく、早めにお近くの耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

 

監修 札幌市東区 あべ耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック 院長 安部 裕介

 

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