豆知識

耳垢(みみあか)のお話

■耳垢(みみあか)とは

ついつい気持ちよくてやってしまう耳掃除。でもそもそも耳垢って「どうして溜まるのだろう」と思ったことはありませんか?

耳垢は耳にある耳垢腺や皮脂腺などから出た分泌物と空気中のごみなどが混ざったものになります。なので、汚いものと思われがちですがチリやホコリが耳の奥に行かないように止めてくれる耳にとっては大切な存在ともいえます。

また耳垢自体が「カサカサ」している人と「ベトベト」している人がいますが、これは遺伝の影響が強く、発汗量が多い人ほど耳垢腺からの分泌物の量も多くなるため耳垢が「ベトベト」しやすいともいえます。耳垢は耳の中を適度に湿らせてチリやホコリを吸着してくれるため、ある程度の湿りは必要になります。

 

■耳垢ができる場所

耳垢ができる場所を説明するためには、まず耳の構造を理解しなければなりません。耳は大きく外耳・中耳・内耳に分かれています。そして私たちが普段耳掃除をする時や指で触ったりしている部分は鼓膜を境に外側になる外耳の部分になります。もう少し詳しく説明をすると耳垢が溜まる外耳道の部分でも、特に耳垢が溜まりやすいのは耳の穴から1㎝までの外耳道と言われています。それ以上奥になると耳の自浄作用により溜まりにくくなっています。

 

■耳掃除について

耳掃除は毎日行う必要はありません。むしろ毎日行うとかえって耳を傷つけてしまい、かゆみや痛みの原因となる外耳道湿疹や外耳道炎を引き起こすこともありますので、おすすめできません。

元々耳は食べ物を食べる時などに顎を動かすことによって、それに連動して耳の奥も動き、溜まっている耳垢を外に押し出そうという自浄作用があります。

耳掃除をすることで逆に耳垢をどんどん奥の方押し込んでしまい、聞こえが悪くなってしまうこともあります(耳垢栓塞といいます)。

耳掃除は、全くしなくていいという耳鼻科の先生も多数いますが、するなら1ヶ月に1回程度にとどめましょう。

 

耳掃除のリスクを説明しましたが、聞こえが悪い、耳がつまる感じがする場合、耳垢が充満している耳垢栓塞や他の耳の病気が隠れている場合もあります。小さなお子さんの場合は、耳の穴が狭く、家庭での耳掃除が難しく、傷つける場合もありますので、早めにお近くの耳鼻咽喉科で診てもらいましょう。

 

 

札幌市東区 あべ耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック 院長 安部 裕介

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