豆知識

「副鼻腔炎」のお話

■副鼻腔炎とは

副鼻腔は、鼻(鼻腔)の周囲にある骨に囲まれた空洞で、上顎洞(じょうがくどう)、篩骨洞(しこつどう)、前頭洞(ぜんとうどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の4つが左右に一対ずつあります。副鼻腔に炎症をおこした状態を副鼻腔炎といいます。

 

■副鼻腔炎の症状と原因

副鼻腔は鼻(鼻腔)と交通しているので、風邪などがきっかけでウイルスや細菌による炎症が副鼻腔にも及び、副鼻腔の粘膜が腫れたり、膿がたまることで急性副鼻腔炎を起こします。まれに虫歯やカビ(真菌)、腫瘍が原因のこともあります。

骨の中の炎症ですので、急性副鼻腔炎が治らきらずに慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に移行していることも多いです。

黄色の鼻水・鼻づまり、鼻水がのどに落ちて(後鼻漏といいます)、長引く咳や痰の原因となることもあります。

顔面の痛み、頭痛や頭が重い感じ、においや味がしない、口呼吸、いびきや睡眠時の無呼吸などの症状や、聞こえが悪くなる滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)の原因となることもあります。

10日から2週間以上症状が続く場合や顔面痛がある場合は副鼻腔炎を疑い、鼻の中を充分に診察し、X線写真、時にはCT、細いファイバーで鼻内を観察することで診断します。

 

■副鼻腔炎の治療

副鼻腔の腫れをとって、鼻水を出しやすくなる内服薬の治療が中心です。

鼻の処置や吸入などの治療も同時に行ないます。

顔面の痛みがあったり、10日から2週間以上症状が続く場合、抗菌剤が必要となることもあります。アレルギー性鼻炎や花粉症を併発していることも多く、アレルギー性鼻炎や花粉症の治療の併用も効果的です。

慢性副鼻腔炎の場合、治療も数ヵ月かかる場合もありますので、根気強く行なう必要があります。

炎症が副鼻腔から頬の皮膚に及んだり、視神経に及んで、視力が落ちたり、ものが二重に見えたりする場合、緊急手術を要することもあります。

小児の場合はこれらの治療で治ることが多いですが、繰り返すことも多く、成人の場合、数ヶ月の治療で改善が乏しい場合、虫歯やカビ(真菌)、場合によっては腫瘍が原因であることも考慮し、CTやMRIなどを撮影し、手術を要することもあります。

札幌市東区 あべ耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック院長 安部裕介

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